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2010年02月04日

半導体ニュース100204001

 東芝やNECエレクトロニクスなど国内半導体メーカーの業績改善の遅れが鮮明になってきた。このほど出そろった国内主要メーカー5社の2009年度第3・四半期(10─12月)業績は、過去最高の四半期営業利益を出したエルピーダメモリを除くと小幅な黒字か赤字縮小にとどまり、力強い回復を示す米インテル(や韓国サムスン電子など海外有力メーカーとの地力差は隠しようもない状況だ。世界の半導体市場が上昇局面に入る中、海外強豪メーカーが事業拡大へ向けてアクセルを踏み込めば、格差はさらに広がり、日本勢の国際競争力が一段と低下するおそれも否定できない。

 <国内各社、低調な業績続く>

 2月1日、東京株式市場で東芝株は前営業日比6%安の467円で取引を終えた。前営業日の1月29日、2010年3月期の連結売上高予想を従来比で4000億円下方修正すると発表したことが嫌気されたようだ。同社は下振れの理由として「景気の回復が予想以上に遅い」(村岡富美雄副社長)などと説明したが、みずほインベスターズ証券アナリストの石田雄一氏は、東芝の業績を大きく左右する半導体事業について「思ったほど回復していない」と指摘する。

 同社の半導体事業の営業損益は7―9月期に6四半期ぶりに黒字(52億円)に転じたが、10―12月期は同利益が47億円にとどまるなど上昇カーブを描けないでいる。中核製品であるNAND型フラッシュメモリーの価格は10―12月期に前四半期比10%高となったものの、「7―9月期から10―12月期にかけての営業利益の推移は全く物足りない」(石田氏)とみられている。

  また、課題のシステムLSI(大規模集積回路)事業は赤字が続いている。東芝は、NECエレなど国内大手と半導体事業で再編を模索したが成立せず、システムLSI事業の分社化も検討したが、その後の進展は聞かれない。石田氏は東芝のシステムLSI事業について「業界再編の流れに乗り遅れ、損益とは別に今後の展開の不透明感がぬぐえない」と語る。

 10―12月期はNECエレが93億円、ルネサステクノロジ(東京都千代田区)が34億円のそれぞれ営業赤字だった。4月1日に合併する両社は、10年3月期通期では合計1135億円の営業赤字が残る見通しだ。合併会社の会長に就任予定の山口純史NECエレ社長は、新会社の事業戦略について「4月以降は『100日プラン』に取り組むから、7月ごろにいろいろなことが分かってくる」と説明する。ただ、約4万7000人(09年9月末時点合計)に上る従業員の処遇や、過剰だと指摘されている生産工場(国内では両社合計20カ所)の統廃合など、プラン策定に向けた課題は山積だ。

 <利益率・額で海外勢と大差>

 このほか、富士通は10―12月期に、半導体を含むデバイスソリューション部門の営業損益が7四半期ぶりに黒字化したが、半導体事業の黒字額は十数億円にとどまった。10―12月期に304億円の営業利益を出したエルピーダだけが国内メーカーでは唯一気を吐いた格好で、DRAM市況の反転を受けて営業利益率も前四半期の0.8%から20%に急上昇した。

 しかし、海外に目を向けると、エルピーダの利益率が特別に高いわけではない。10―12月期の営業利益率・金額でみると、米インテルが23.5%で25億ドル(約2250億円)、メモリー世界最大手の韓国サムスン電子の半導体事業が21%で1兆7000億ウォン(約1300億円)、DRAM世界2位の韓国ハイニックス半導体が25%で7080億ウォン(約550億円)、ファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は36.5%で336億台湾ドル(約950億円)などとなっており、利益率と利益額両面で日本勢は大きく水をあけられている。

 <中国で出遅れ>

 世界の半導体市場が急速に回復している背景として、1)各国の景気刺激策の効果、2)中国やインドなど新興国の経済成長、3)米マイクロソフトの新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ7」の効果によるパソコンの好調、4)スマートフォン(多機能型携帯電話)や電子読書端末など新しいデジタル製品の登場―などが挙げられる。

 米調査会社ガートナーによると、2009年に前年比5.2%だったパソコンの世界出荷伸び率は、10年には11.7%に上昇する見通しだ。米調査会社アイサプライの日本法人副社長の南川明氏は、半導体産業の好不況の波を表す「シリコンサイクル」について、「昨年の春に底を打って上昇に転じた」と語る。今回の市場拡大は「2011年いっぱいまで続くのではないか」(南川氏)とみている。

 南川氏は、2008年に1人当たり国内総生産(GDP)が3000ドルを突破した中国市場について、「所得が上昇して、白物家電やテレビなどを今まで買えなかった人達が買い始めている。1人当たりGDPが3000ドルを超えるとそうした家電が買われ始めるが、その人口が今、爆発的に増えている」と語る。

 この中国市場で需要が拡大しているのが「ボリュームゾーン」と呼ばれる低価格の家電製品だ。価格帯は、テレビなら日本円で3万円程度、白物家電で1─2万円程度。主に中国の現地メーカーが生産するこれらの製品に搭載される半導体の需要を取り込めれば、日本の半導体メーカーにもチャンスとなるが、南川氏によると、日本の半導体メーカーは、欧米や台湾、韓国のメーカーに比べて中国市場への食い込みで出遅れているという。

 アイサプライの調べでは、中国における日系半導体メーカーのロジック系半導体製品の市場シェアは、05年から08年までに15%程度の横ばいで推移。09年の調査数値はまだないが、前出の南川氏は「日系メーカーのシェアは落ちていると思う」と話す。国内の半導体メーカーは、過剰なほど品質を追及するあまり高コスト体質が染み付き、国際市場で競争力を失っているといった指摘がこのところよく聞かれるが、中国での現状はそうした実態を示していると言えそうだ。

 <市況回復は経営のリスクに>

 装置産業である半導体事業では「回復局面で(過去に)どういった経営施策をとったかによって差が開く」(石田氏)とされる。業績回復の遅れを理由に日本メーカーが設備投資を抑えている間に、海外の有力メーカーが設備投資のギアを一気に引き上げれば、格差が絶望的に開くおそれもある。不況を早々と脱出したTSMCは2010年に設備投資額を前年比8割増の48億米ドル(約4300億円)に引き上げる計画。サムスンも今年、設備投資を前年比で増やすことを検討しているという。

http://www.devicepro.co.jp/



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